Twitterの元CEOであるジャック・ドーシー氏が近年話題になることが増えた分散型インターネット「Web3」について苦言を呈し、投資家らと大激論を繰り広げています。論戦にはイーロン・マスク氏も参戦するなど大きな盛り上がりを見せています。
Musk and Dorsey Blast Web3 as 'Centralized' Gimmick Controlled by Venture Capitalists - Decrypthttps://decrypt.co/88978/dorsey-musk-web3
Jack Dorsey says VCs really own Web3 (and Web3 boosters are mad) - The Vergehttps://www.theverge.com/2021/12/21/22848162/jack-dorsey-web3-criticism-a16z-ownership-venture-capital-twitter
Web3とは暗号資産などに用いられている分散化技術を基板としてサービスを展開することを目指す次世代インターネットのアイデアで、Web3が普及することによってGoogleやAmazonといった大企業の支配から脱却し、サービスの提供者が利益を得られるようになるとされています。
このWeb3についてドーシー氏は「『Web3』はみんなものではなく、ベンチャーキャピタル(VC)や投資者(LP)のものとなっている」という旨のツイートを投稿し、分散化技術が基盤であるはずのWeb3が実際には一部の投資家によって管理されている現状を非難しました。
You don’t own “web3.”The VCs and their LPs do. It will never escape their incentives. It’s ultimately a centralized entity with a different label. Know what you’re getting into…
さらにドーシー氏のツイートの数時間後にはマスク氏が「Web3を見たことがある人はいますか?わたしは見つけられません」と投稿。この投稿に対してドーシー氏は「aからzの間のどこかにあります」と返信しました。この「aからzの間」とは、暗号資産分野に特化したファンドを設立するなど分散化技術に大きく関わっているベンチャーキャピタル「Andreessen Horowitz(a16z)」を示しているとされています。
また、a16zのゼネラルパートナーであるクリス・ディクソン氏は、発端となったドーシー氏のツイートの直後に「はじめに彼等は無視し、次に笑い、そして挑みかかるだろう←今ここ そうして我々は勝つのだ」というガンジーの名言として有名な語句(実際はガンジーの発言ではない)を引用してWeb3が成長段階にあることをアピールしました。これに対してドーシー氏は「あなたはメディア帝国を築くことを決意した投資家であり、ガンジーではありません」と返信しています。
You’re a fund determined to be a media empire that can’t be ignored…not Gandhi.
さらに、2021年12月18日にウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が掲載したWeb3に関する記事で、ドーシー氏がWeb3の広告塔のように記されていることを他のユーザーから指摘されると、「私は『Web3』に関わったことがありません。WSJや他のメディアは、私の名前や写真をクリック数稼ぎに使っています」と述べてWeb3への関与を否定しました。
その後もドーシー氏とユーザーの論争は続き、2021年12月22日にはWeb3の利益の大部分がシリコンバレーの投資家たちに還元されていることを示す風刺画を引用リツイートしています。
・おまけ ドーシー氏はWeb3との関わりを否定していますが、分散技術そのものに否定的なわけではありません。実際に、ドーシー氏はビットコインマイニングシステムの開発に興味を示したり、分散型ビットコイン取引所の開発を発表したりと、ビットコインに対して精力的に関わっています。また、ドーシー氏のTwitterアカウントの自己紹介は「#bitcoin」となっており、ビットコインへの関心の高さが伺えます。
さらに、2021年12月21日にはラッパーのCardi B氏による「暗号資産はドルに取って代わると思いますか?」という問いかけに対して「なります。ビットコインがね」と返答してします。