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とても、基本的な話をしようと思います。なぜ、僕らはビットコインのことを信用することができるのでしょうか?単なる盛り上がりではない本質的な話がここにあります。この話が理解できた人は、ぜひ、周りのみんなに教えてあげてください。

また、こちらの動画は、同じ内容をYoutubeにもまとめています。こらも合わせてご覧ください。

1972年のニクソンショックから始まった「信用本位制」の時代

ビットコインを支える「信用」のカギは、まずここの話から始まります。

この1972年に、国際金融システムを根本的に変える大きな出来事がおきました。それは、**「ニクション・ショック」**です。

ここに出てくる**「ブレトン・ウッズ体制」**とは?これも知っておいた方がよい話です。

そう、全ての始まりは、世界恐慌にあったのです。世界恐慌への対応策として、各国が今のトランプ政権が実施している保護貿易政策同様に、厳しい保護政策を行った「ブロック経済圏」政策が原因で、各国は協調よりも、自分たちのブロック経済圏の拡大を優先し、第2次世界大戦が起きてしまいました。約9,000万もの人命を失い、長崎と広島に原爆が落ちるという人類の歴史上、最大の不幸とも呼べる戦争です。

その未然防止策として、色々な解決案が出る中、最終的に採用されたのが、ブレトン・ウッズ体制でした。アメリカのドルと他の世界の通貨を固定相場で交換し、そして、世界で唯一ドルのみが、金との交換を可能にすると言う世界金融システムの仕組みです。通称**「金本位制」**といいます。ブレトン・ウッズ体制の案自体が、アメリカから提案されたものだったのですが、狙いの1つは、アメリカが、当時、ソ連との冷戦体制に入っていたため、西側諸国のリーダーとしての地位と、そして西側諸国の結束を保ちたかったがためです。まあ、現実的に、第二次世界大戦後の荒廃した当時の西側でリーダーシップを取れるだけの経済力と軍事力を持っていたのがアメリカだけだったということもあります。

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第2次世界大戦後の金融システム・ブレトンウッズ体制。アメリカのドルのみを金と交換可能にし、それ以外の通貨とドルの間を固定相場にすることで、ヨーロッパとアジアの急速な経済回復を可能にした

参考までに、実は、このブレトンウッズ体制の戦略は、僕が経営していたOrbで採用したステーブルコイン戦略でも応用したものであり、その他、**フェイスブックのLibraや、バイナンスが進めているステーブルコインプロジェクトであるVenus**でも採用されています。参考にしてください。

ですから、戦後の世界の通貨システムというのは、「ゴールド」の信用を裏付けに機能していたということです。同時に、アメリカの中央銀行であるFRBは、保有しているゴールドの量以上のドルは発行できないという厳格なルールを敷くことで、金融市場が、1920年代に発生したような急激なバブル状態になることを防いでいました

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なので、このアメリカのドルが金の裏付けによって、信用を担保し、そして、ドル以外の通貨と固定相場システムで、通貨システムを運用するというのは、かんたんに言えば、全通貨の価値=信用が、完全に、ゴールドに縛られた状態であったということです。

そして、これが、ニクソン・ショックによって終わりを迎えます。なぜか? 理由は二つあります。一つは、「アメリカの不況」です。アメリカは、第2次世界対戦が終わった時点では、世界のGDPの約40%以上をもつ最強国家であり、かつ、戦地となったヨーロッパと日本に、経済復興のためのお金を貸し、かつアメリカ企業も復興事業に関わることで、ものすごい好景気となりました。しかし、先のブレトン・ウッズ体制が大変な効果をあげたことで、ヨーロッパと日本は、急速に経済回復を実現します。すると、それまでアメリカに頼りきりだった彼らが、自立的に経済活動を行うようになり、アメリカの企業たちは、それらのビジネスを失ってしまい、結果、アメリカが深刻な不況に入ります。これを60年代不況と呼びます。

もう一つが、「ベトナム戦争」です。冷戦において、アメリカ軍以外の西側諸国は、軍隊を派遣するほどは回復していませんでしたから、当然、東側との戦争となれば、真っ先に、西側で軍隊を派遣するのはアメリカです。しかし、ベトナム側の巧みなゲリラ戦で、アメリカにとって、ベトナム戦争は完全、泥沼化してしまい、最終的にアメリカは、対外戦争ではありますが敗北します。不況と敗戦、このダブルパンチによって、アメリカの国際政治経済における信用は、揺らぎはじめ、世界の投機家たちが、ドル売り金買いを始めるのですね。これは、アメリカの金融システムにとって、大変な打撃です。なぜなら、FRBは、保有している金の量しか通貨を発行できませんから、投機家がFRBに殺到し、「ドルと金を交換してくれ」という自体が加速すると、FRBは、ドルの通貨政策をまともに維持できなってしまい、アメリカの西側諸国に超えるリーダー的地位も失われるリスクのみならず、東西冷戦に負けるリスクが上がります。しかし、投機家たちはそんなことはおかまいなしに、自分たちの利益をあげるため、ドル売り金買いをやり続け、ドルの価値は急落し、金の値段が高騰していく。

そこで、当時のニクソン大統領が取った最終判断が、**「ドルと金との交換停止措置、および固定相場制の放棄と変動相場制の導入」**を実行しました。これがニクソン・ショックです。

この結果、世界の金融システムは、根本的に変わってしまいます。どうのように変わったのか?その国の通貨の信用をその国の経済力が担保するという、通称「信用本位制」に変わったのですね。多くの人は、この信用本位制の意味が理解できていません。ここに、ビットコインに信用が集まるヒントが隠されているからです。

すると、通貨の世界の信用は、それまで金という絶対の存在に守られていた状態が消えて、お互いの国の景気によって、絶えず、通貨の信用(=通貨の価値)が変動する世界に変わったわけです。例えば、下の図にあるように、日本の景気が、アメリカや中国、ユーロよりもよい状態であれば、日本円の信用=価値が上がり、中国の景気がよいときは、中国元の信用=価値が、他の通貨よりも高くなる、という世界です。つまり、お金の信用が、ゴールドという絶対的なものではなく(本質的にはゴールドも、人類全体が信用するから価値があるのであって絶対とは言えない)、それぞれの国の景気という「相対的なもの」に変わってしまったということです。